道路パトロール

(道路巡回、道路巡視、交通管理隊)

 道路パトロールは、道路管理者が道路法に基づいて、黄色い道路パトロールカーなどで道路を巡回し、道路の損傷や変状、落下物などを発見し、応急対策などを講じることにより道路交通の安全を確保するものです。

道路パトロールの根拠

 道路パトロールは、道路法第42条を根拠に行われています。

 道路法第42条に『道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。』と定められています。

 同条第2項に『道路の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は、政令で定める。』とされ、その政令が長らく制定されていなかったため、多くの自治体は『道路の維持修繕等管理要領について(昭和37年8月28日 道発第368号 道路局長通達)』を踏まえて道路パトロールを行ってきました。

 平成25年の道路法の改正に伴い、道路法施行令第35条の2第1項に『道路の構造、交通状況又は維持若しくは修繕の状況、道路の存する地域の地形、地質又は気象の状況その他の状況を勘案して、適切な時期に、道路の巡視を行い、及び清掃、除草、除雪その他の道路の機能を維持するために必要な措置を講ずること。』と定められ、現在は道路パトロールが法律上の義務として明示されています。

道路パトロールの目的

 路面が凸凹していたり、ガードレールが壊れているなど道路に破損や異常があると、それが原因で事故が起こることもあります。 このため、道路管理者は道路パトロールを行い、道路の異常や破損の発見に努めています。

 道路パトロールで発見される異常の大半は、下図にあるとおり落下物で、道路パトロールカーで回収されています。 次に多いのが路面の凸凹や段差などの異常で、排水施設、占用物件、街路樹、視線誘導標、防護柵等の異常も発見されています。

 パトロール中に交通の安全に著しく支障となるような状態を発見した場合は、セーフティコーンの設置や交通誘導などの緊急措置を行って事故を未然に防ぐとともに、応急的な補修を行ったり工事の手配しています。

 それでも、道路の異常に起因する事故が下図のとおり起きています。 道路が通常有すべき安全性を欠いている状況で事故が起きたときには、道路の管理瑕疵を問われることもあります。

[パトロールで対応した異常事象の割合を示すグラフ]

巡回により発見される異常事象の割合

<関東地整管内、対象物別、H22年度>

[道路の異常に起因する事故の件数を示すグラフ]

道路の異常に起因する事故の件数

<関東地整管内、H20〜H22年度平均>

一般国道(指定区間)の道路パトロール

 国土交通省は『国道(国管理)の維持管理等に関する検討会』の議論等を踏まえて、『国が管理する一般国道及び高速自動車国道の維持管理基準(案)(平成25年4月)』を定めました。 また、各地方整備局等は、維持管理基準に基づいた『道路維持管理計画書』を公表しています。

 これらでは、特別な事情がある場合を除いて、路面の異常や障害に起因する事故を防止することを目標に、道路の状態や道路の利用状況を把握して、道路の異常等に対して適宜の措置を講じるため、以下のように通常巡回、定期巡回、異常時巡回を行うこととしています。

 通常巡回

 通常巡回は、主に道路パトロールカーの車内から道路の異状や道路の利用状況等を把握するパトロールで、道路利用者に馴染みの深いものです。 具体には次の事項を目視で確認しています。

  1. 道路及び道路の付属物
  2. 交通の状況、道路工事、占用工事等の施工箇所における保安施設の設置状況、及び交通処理状況
  3. 道路隣接地における工事等が道路に及ぼしている影響
  4. 道路の不法占用等の状況
  5. 降積雪状況及び雪崩危険箇所等の状況

 国道(指定区間)の通常巡回は、原則、以下の頻度で実施されています。

  • 平均交通量50,000台/日以上:1日に1回
  •   〃   5,000台/日以上 50,000台/日未満:2日に1回
  •   〃   5,000台/日未満:3日に1回

 また、道路照明の点灯状況や視線誘導標の視認性など、夜間における道路の状況を把握するため、夜間巡回も行われています。

[道路パトロールで置かれたカラーコーンの画像]

危険を知らせるコーンの設置

写真出典〕大分県中津土木事務所HP

http://www.pref.oita.jp/soshiki/17011/douropato1.html

 定期巡回

 定期巡回(徒歩巡回)は、原則として年に1回、徒歩で道路施設の状況等を確認するもので、具体には下記の構造物などについて機能面からの健全度を把握するための詳細な点検が行われています。

  1. 橋梁、トンネル、擁壁及び護岸等
  2. 排水施設
  3. 法面
  4. 道路付属物
  5. 歩道全般の状態及び利用状況

 異常時巡回

 異常時巡回は、台風、集中豪雨、豪雪、地震等の異常気象時や災害発生時、その他道路交通に支障を与える状況が発生した時に、道路施設の被災状況や通行の可否等を把握して適切な措置を講じるために、適宜実施されています。

 また、降雪や路面凍結により交通障害の恐れがある場合に『雪氷巡回』を行っている事務所もあります。

 なお、『道路災害等に関する情報連絡要領について(平成13年1月5日道路局長通達)』に、異常気象により事前通行規制を行った場合や、災害が発生した場合あるいは災害が発生したことによる通行規制を行った場合などの、国土交通省への連絡などが定められています。

[道路冠水時の道路パトロールの画像]

台風や大雨時の道路冠水パトロール

写真出典〕市川市 道路交通部HP

http://www.city.ichikawa.lg.jp/roa05/1111000012.html

高速道路の道路パトロール

 高速道路は有料であることや高速で通行する道路であるため求められる管理水準が一般道より高いことから、一般道より充実した道路パトロールが行われています。 また、道路パトロールを行う職員を『交通管理隊』と呼ぶことが多いようです。

 高速道路では、交通管制業務を高速道路会社が行っています。 管制センターでITVカメラ等の情報機器や非常電話などで交通事故や落下物などの異常を把握した場合、交通管理隊を緊急出動させて初期対応を行ったり交通事故の復旧作業を行うなど、一般道では行っていない業務も行っています。

自治体の道路パトロール

 国土交通省では道路巡回業務のすべてを民間委託していますが、多くの自治体では直営で行ったり、一部を民間に委託して行っています。 人員態勢や予算の制約、地域の実情に応じて、それぞれの自治体で道路パトロールの仕方は異なっています。

 例えば、委託で道路パトロールを行い、交通に支障のある異常を発見した場合には、発注者へ連絡するとともに、カラーコーンやバーで異常個所を囲ったり、車両を誘導することまでが道路パトロールの業務で、発注者から指示を受けた別の受注者が現場の修繕を行っている自治体もあれば、直営の作業班が作業車で道路パトロールを行い、小規模な舗装陥没程度であれば、その場で常温合材等を用いて修繕を行っている自治体もあります。

 また、道路の物的な状況確認を道路巡回パトロールとして行い、不法占用や占用工事の確認や指導は道路監察パトロールとして、別に行っている自治体もあります。

 古いデータになりますが、平成17年に国土交通省が都道府県にヒアリングした際には、巡回頻度が週2回以上から月1回である自治体が多数を占めました 1)

 国土交通省では年1回の道路施設の状況確認を道路パトロールの定期巡回として位置付けていますが、自治体では、予算要求のための事前調査等、道路パトロールとは別の位置づけで行っている場合も多いようです。

道路パトロールの積算

 国土交通省は、道路巡回業務の積算基準を定めています。

道路パトロールカーの色と装備

 道路パトロールカーは黄色のパトランプがついた黄色い車であることがほとんどです。

 これは、道路交通法第41条4項や都道府県の道路交通規則で、道路パトロールカーは転回禁止など道路交通法の一部の規定が適用されないことになっており、その特例を受けるために、車を次のようにして公安委員会から指定を受けているためです。

  • 車体の塗色は、車体の両側面及び後面の幅15センチメートルの帯状かつ水平の部分を白色に、車体のその他の部分を黄色にする
  • 150メートルの距離から見える黄色の点滅式灯火をつける

 また、道路パトロールカーの装備は、上記に加えて、緊急走行のための赤色のパトランプ、後方への注意喚起の標識装置やサーチライト、ウインチまで装備しているものまで、道路管理者により様々です。

道路パトロールカーの装備の例
  • パトロール車両(標識装置、赤・黄色灯装着車両)
  • 道路巡回及び応急作業に必要な機材(道路巡回記録機器、緊急通信用携帯電話、懐中電灯、発電機、信号旗、スコップ、ハンマー等)
  • 応急作業用資材(路面応急補修材、事故流出オイル処理材、路面凍結処理材、落下物等処理袋、ロープ、鉄線、セーフティーコーン等)
  • 保安具(作業服、ヘルメット、安全チョッキ、軍手等)

出典〕公物管理補助業務(道路巡回業務)民間競争入札実施要項(平成24年11月、国土交通省)

[道路パトロールカーの装備の画像]

道路パトロールカーの装備の一部

写真出典〕国土交通省頓原維持出張所HP

http://www.cgr.mlit.go.jp/matsukoku/tonbara-iji/patrol/

措置命令権

 例えば、車から物が落下しそうなとき、それを注意することは誰でもできます。 また、警察官であれば、『当該車両等を停止させ(略)必要な応急の措置をとることを命ずる道路交通法第61条』ことができます。

 道路パトロールカーは、警察ではないので、交通違反の取り締まりは行いません。

 しかし、道路監理員が道路パトロールを行っている場合、道路監理員の権限に基づいて、道路法第43条の2により車両の運転者に積載物の落下の予防等の措置を命ずることができます。 この命令に違反した者は20万円以下の罰金に処せられます 2)

まとめ

 道路パトロールは、道路管理者が道路交通の安全を確保するために行うものです。 パトロールでどのような状態を発見しなければいけないのか、どのような状態が道路の安全性を欠いているのかについては、例えば、道路管理瑕疵が問われた場合が一つの参考になります。 道路管理瑕疵の事例研究をはじめ、どのような状態が危険なのかをあらかじめ熟知したうえでパトロールを行うことが必要です。