道路の清掃

(ロードスイーパー、路面清掃、歩道清掃、側溝清掃)

 幹線道路の車道を清掃する路面清掃は、道路に溜まった土砂やゴミなどによるスリップ事故を防止することなどを目的に、道路管理者が路面清掃車などを用いて行っています。  地域内の道路の清掃や、歩道や側溝などの清掃を道路管理者が行うのは限定的で、住民にお願いしている場合が多くなっています。  また、台風などの後に清掃しているほか、排水管やトンネルなどの清掃も行われています。

道路清掃の根拠

 道路清掃は、道路法第42条を根拠に行われています。

 道路法第42条に『道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。』と定められています。

 同条第2項で『道路の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は、政令で定める。』とされており、道路法施行令第35条の2第1項に『道路の構造、交通状況又は維持若しくは修繕の状況、道路の存する地域の地形、地質又は気象の状況その他の状況を勘案して、適切な時期に、道路の巡視を行い、及び清掃、除草、除雪その他の道路の機能を維持するために必要な措置を講ずること。』と定められ、道路清掃が法律上の義務として明示されています。

道路清掃の目的

 道路管理者が行う道路清掃には、路面清掃、歩道清掃、排水構造物清掃、ガードレールやトンネルなどの清掃があります。

 路面清掃は、通行車両の安全性の確保や、冠水被害の防止、沿道環境の向上などのために行われています。 車道上に土砂やゴミが多いと、スリップ事故や二輪車の転倒事故が増えます。 過去には、最大厚さ5〜10cmの土砂が前年から散乱堆積していた箇所で、夏に原付自転車が転倒した事故で、過失相殺はあるものの道路の管理瑕疵が問われたことがありました(大分地判昭和50年10月20日)

 また、路面の土砂やゴミが排水溝や排水桝に溜まると、道路冠水の原因となる可能性もあります。 これらを防ぐために、路面清掃車(ロードスイーパー)などの清掃機械を用いて路面の清掃が行われています。

 歩道清掃は住民の協力を得て行うという考え方が一般的です。 道路管理者により考え方に違いがありますが、例えば国土交通省は街路樹の落ち葉に限定して歩道清掃をし、その他は住民にお願いすることを原則としています。

 家屋の連坦部の側溝清掃は、地域の協力を得て行うという考え方が主流ですが、清掃をされずに閉塞をした場合には路面冠水による事故なども想定されるので、道路管理者が行う場合があります。 排水管清掃などは、施設の機能を維持するために行われます。

 なお、道路を汚した人がいる場合は、道路法第22条(原因者工事)の『道路を汚損した行為により必要が生じた道路の維持を施工させることができる』との考えに則り、汚した人に清掃をさせるのが通常の対応です。

一般国道(指定区間)の道路清掃

 国土交通省は『国道(国管理)の維持管理等に関する検討会』の議論等を踏まえ、『国が管理する一般国道及び高速自動車国道の維持管理基準(案)(平成25年4月)』を定めました。 また、各地域整備局等は、維持管理基準に基づいた『道路維持管理計画書』を公表しています。

 これらでは、特別な事情がある場合を除いて、路面清掃は、道路に溜まった土砂やゴミなどによるスリップ事故など、路面の異常・障害に起因する事故を防止することと、走行の快適性や沿道環境を向上することを目標に行うこととされています。

 具体には、右図にあるとおりゴミの回収量が0.2m3/km程度を越えると二輪車の転倒事故が増えることが解っています。 これらを踏まえ、ゴミの回収量が0.2m3/km程度(10kmで4tダンプ1台分の塵埃回収量)となるような頻度で路面清掃を行うことを基本とし、目安として下記の頻度を設定しています。

  • 三大都市 :年間12回 (東京23区内、大阪市内、名古屋市内)
  • DID内  :年間 6回 (DID内は、平成17年度国勢調査におけるDID)
  • その他区域:年間 1回

 また、交通安全上危険な状態にあるときや、台風、暴風被害の後や、火山の噴火による降灰など、特別な事情がある場合には、上記によらず適切に行うこととしています。

 歩道清掃は、原則として、街路樹からの落葉等の除去に限定して行われています。

 排水構造物清掃は、土砂の堆積等による通水阻害を防止するため、通水阻害箇所を抽出して行われています。

高速道路の道路清掃

 高速道路の道路清掃は、例えばNEXCO東日本の場合、スイーパーによる路面清掃Aを標準年18 回、積み荷などの落下物や、中央分離帯・排水溝などに落下しているゴミ等を人力により回収する路面清掃Cを標準年79 回行うなど、一般道より充実した清掃を行っています。

 パーキングエリアなどの清掃のほか、トンネル側壁、排水設備、標識、橋梁のジョイント、照明灯具、標識灯具、ジェットファン、デリニエーター、可変情報板、消火栓、非常電話、ラジオ再放送用誘導線は汚損状況により清掃をすることとしていますが、防護柵は車両衝突時の逸脱防止性能が損なわれないため、原則、清掃をしないこととしています。 また、一般道と異なり事故清掃を迅速に行う体制を整えています 1)

自治体の道路清掃

 自治体の多くは、例えば、幹線道路の車道の路面清掃は道路管理者が行い、その他の道路や歩道の日常的な清掃、側溝の清掃は住民にお願いするとか、繁華街に限っては歩道清掃も行うとかの方針を定めています。 その方針をHPなどで公表しているところもあります。

 また、道路の清掃を住民が行ったときにゴミの処理は自治体が行うとか、側溝清掃の蓋を持ち上げる道具を貸与するなどの対応をしている自治体が多くあります。

道路清掃の積算

 「国土交通省土木工事積算基準」に、下表の歩掛りが定められています。 また、表に「○」がある工種は施工パッケージになっています。

表−道路清掃の歩掛
工種 適用
道路清掃工
路面清掃工(機械清掃工) 真空式及びブラシ式路面清掃車による道路清掃作業に適用する。
路面清掃工(都市型ブラシ式) 路面清掃車(都市型ブラシ式)による道路清掃作業に適用する。
路面清掃工(人力清掃工) 人力による路肩部,歩道,横断歩道部,地下道,中央分離帯の清掃作業に適用する。
ガードレール清掃工 回転ブラシ式ガードレール清掃車によるガードレール清掃作業に適用する。
ガードレール清掃工(自動追従型) 回転ブラシ式自動追従型ガードレール清掃車によるガードレール清掃作業に適用する。
視線誘導標清掃工 人力による視線誘導標(デリニェータ)清掃に適用する。
ガードパイプ清掃工 人力によるガードパイプ清掃作業に適用する。
 橋梁付属物清掃工
櫛型ジョイント清掃工 排水管清掃車を主体に側溝清掃車及び高所作業車の組合せによる櫛型ジョイント清掃に適用する。なお,適用できるジョイント幅は140〜850mm とする。
橋梁排水管清掃工 排水管清掃車を主体に側溝清掃車及び高所作業車の組合せによる橋梁排水管清掃に適用する。なお,適用管径はφ60.5〜200mm とし,河川等に直に排水処理する形式の排水管は対象外とする。
排水構造物清掃工
管渠清掃工,側溝清掃及び集水桝清掃工(組合せ作業) 排水管清掃車と側溝清掃車の組合せによる管渠及び側溝(蓋付),集水桝の清掃に適用する。管渠は管径φ200mm〜1,000mm,側溝は幅200〜1,000mm(断面積0.5m2 未満),集水桝は,桝の内寸法□100cm 未満,桝深さは100cm 未満とする。
側溝清掃(単独作業) 側溝清掃車による無蓋側溝の清掃作業に適用する。側溝は,幅30〜70cm,深さ30〜90cm とする。なお,有蓋側溝の単独作業による清掃については,別途考慮する。
側溝清掃工(人力清掃工) 人力による側溝清掃作業に適用する。
集水桝清掃工(単独作業) 側溝清掃車による集水桝の清掃作業に適用する。
集水桝清掃工(人力清掃工) 人力による集水桝及び街渠桝の清掃作業に適用し,桝の内寸法は□70cm 以下,桝深さは100cm 以下とする。
トンネル清掃工 回転ブラシ式トンネル清掃車によるトンネル清掃作業に適用する。
トンネル照明器具清掃工 トンネル照明器具の清掃作業に適用する。

 路面清掃工(機械清掃工)の施工フローは下図を標準としていて、路面清掃車のタイプによってはダンプトラックとの組み合わせが標準とされています。 散水車が路面清掃時のホコリを防ぐために用いられます。

[路面清掃の作業フロー図]

 管渠清掃工、側溝清掃工及び集水桝清掃工(組合せ作業)の施工フローは下記を標準としています。

[排水施設清掃の作業フロー図]

道路清掃の機械

道路清掃の施工基準

 国土交通省の『土木工事共通仕様書(案)(平成27年3月、国土交通省)』の『道路清掃工』では、路面清掃工、排水施設清掃工、橋梁清掃工、道路付属物清掃工、構造物清掃工について定めていて、例えば路面清掃工については、次のように定められています。

路面清掃工
  1. 一般事項
     受注者は、路面清掃工の施工については、時期、箇所について設計図書によるほか監督職員から指示を受けるものとし、完了後は速やかに監督職員に報告しなければならない。
  2. 支障物の撤去及び散水
     受注者は、路面清掃の施工を路面清掃車により行う場合は、施工前に締固まった土砂の撤去、粗大塵埃等の路面清掃車による作業の支障物の撤去及び散水を行なわなければならない。
     ただし、凍結等により交通に支障を与えるおそれのある場合は散水を行ってはならない。
     また、掃き残しがあった場合は、その処理を行わなければならない。
  3. 塵埃収集
     受注者は、路面清掃にあたっては、塵埃が桝及び側溝等に入り込まないように収集しなければならない。
  4. 横断歩道橋の清掃
     受注者は、横断歩道橋の、路面・階段上の塵、高欄手摺りの汚れ及び貼紙、落書き等の清掃にあたっては、歩道橋を傷つけないように施工しなければならない。

 国土交通省の『写真管理基準(案)(平成27年3月、国土交通省)』では、『清掃(路面、標識、側溝、集水桝)』の写真管理項目を、撮影項目は出来ばえ、撮影頻度[時期]は施工日に1回〔施工前後〕、提出頻度は適宜としています。

 国土交通省の『地方整備局工事成績評定実施要領(H25.3.25最終改正)』では、維持工事の評価対象項目を次のようにしています。

考査項目別運用表の維持工事(清掃工、除草工、付属物工、除雪、応急処理等)の評価対象項目
  • 使用する材料の品質・形状等が適切であり、かつ現場において材料確認を適宜・的確に行っていることが確認できる。
  • 構造物の劣化状況をよく把握して、適切な対策を施していることが確認できる。
  • 監督職員の指示事項に対して、現地状況を勘案し、施工方法や構造についての提案を行うなど積極的に取り組んでいることが確認できる。
  • 緊急的な作業において、迅速かつ適切に対応していることが確認できる。

道路清掃の実務

ガードレールやトンネルなどの清掃

 道路管理者によっては、ガードレール、デリニェータ、ガードパイプ、橋梁付属物の清掃や、トンネル清掃、トンネル照明器具清掃などを行っているところもあります。

まとめ

 道路管理者が道路のすべてをキレイにすることは、予算的にも人員的にもできません。 道路管理者の行う道路清掃は、例えば、ゴミによるスリップ事故の防止や、排水管の閉塞による溢水防止など、必要性の高いものに限られており、地域内の道路や歩道の清掃は住民にお願いしているのが現状です。 道路管理者が清掃するのはどこまでで、住民にお願いするのはどこからかを意識して、住民に不公平感が生じないよう配慮して清掃をする必要があります。