道路の管理瑕疵(補足)

道路の路上障害物に関する事故の管理瑕疵

 路上障害物に関する事故とは、前車からの落下物、第三者や道路管理者が置いた物件、沿道から張り出した樹木や倒木、路肩等の雑草、放置車両などによる事故です。

 前車からの落下物について管理瑕疵を認めた判例はみつかりませんでした。 道路に置かれた物件については、不法物件であっても管理瑕疵を認めた判例があります。 沿道から張り出した樹木や倒木や放置車両等については、判例が分かれます。

落下物

 先行車などからの落下物による事故の判例は、落下物を回避できない速度で走行する高速道路などでの事故が多く、これらの道路では道路パトロールを充実させて落下物に対応しているため、落下してから道路管理者が対応する時間的余裕がなく瑕疵がないと判示されています。 先行車などからの落下物による事故で、道路管理瑕疵を認めた判決は見つけられませんでした。

 道路に置かれた物件

 第三者が不法にガスボンベ(下記参照)や段差解消ブロック(宇都宮地判平成27年8月20日)などの物件を路上に置き、道路管理者が撤去させられなかった場合や、路上に工事用の土砂などが警戒灯などの保安対策もなく置かれていた場合(福岡地判昭和41年7月29日)に、過失相殺はあるものの管理瑕疵があるとした判例があります。

 これら判決は、不法物件の対応に苦慮している担当者の心情とは一致しないものですが、管理瑕疵の判断は、その道路が通常有すべき安全性を有していたか否かで判断され、その原因が不法物件か否かで判断されるものではありません。 道路管理者が管理瑕疵を問われた後に、不法行為者へ求償をすることになります。

京都市道道路上設置ガスボンベ炎上事件 (京都地判昭和59年10月12日)

 不法に道路にはみだして建築された建物の外側に置かれていたガスボンベに車が衝突し、炎上し、建物の隣の工場まで延焼し、工場主から管理瑕疵を問われた。

 判決は、「市は、二度にわたり原状回復命令等を出したが、強制撤去などの措置をとらなかった。」「必要な措置を講じなかったのであるから、道路の維持管理に通常備えるべき安全性を欠いていた。」として、道路の管理に瑕疵があるとした。

 沿道から張り出した樹木や倒木

 沿道の土地から伸びた木の枝に車が衝突したり(和歌山地田辺支判昭和47年7月26日)、落枝・倒木が通行車を直撃した事故(最高裁判平成18年6月1日)の判例で管理瑕疵があるとしたものと、倒れることが予想できないような樹木であった(大阪地裁判決平成21年2月24日、最高判昭和57年5月27日)など「予見可能性」「回避可能性」がなく管理瑕疵がないとした判例に分かれます。

 路肩等の雑草

 雑草に覆われた路肩を走行した原付が転倒したり(大阪地判昭和57年4月27日)、歩道に繁茂する雑草を避けるために車道にでた歩行者が轢かれた事件(京都地判昭和60年4月17日)で、過失相殺があるものの管理瑕疵があるとされています。

 放置車両等

 道路の中央線付近に78時間放置されていた故障車(最判昭和50年7月25日)や、片側5車線の道路の中央寄り2車線に40台以上のトレーラーとともに駐車していたトレーラー(東京地判平成8年9月19日)に衝突した事故では、過失相殺があるものの管理瑕疵があるとされた一方で、歩道に沿った車道上に放置されていた盗難車(大阪地判平成5年6月23日)との衝突事故では、盗難車を回避して走行することが容易であったことから管理瑕疵がないとされています。