道路の管理瑕疵(補足)

道路の穴ぼこや段差に関する事故の管理瑕疵と対応実務

 舗装の陥没やくぼみ、路面の凸凹、舗装部と未舗装部や側溝などとの段差、マンホールなどの突出などにより、車がパンクしたり、二輪車や原付、自転車が転倒するなどの事故です。 瑕疵の判断は、ケース毎の状況判断に基づき行われているため、どの程度の穴や段差が管理瑕疵を問われるかという答えはなさそうです。

 なお、瑕疵の判断や過失相殺、初動対応についても説明しています。

瑕疵の判断

 何cm以上の穴ぼこや段差あれば「通常有すべき安全性」を欠いていて管理瑕疵になるのかという定量的な数値はないようです。 例えば「京都府道穴ぼこ自転車転倒事件(大阪高判昭和55年7月25日)」では、道路の中央部のみが簡易舗装されていた山間部の交通量の少ない道路で、舗装の端がはがれてできた深さ10cmの穴ぼこで転倒した自転車がバスに轢かれ死亡した事件ですが、道路の整備の程度は「当該道路の位置、環境、交通状況等に応じ一般の通行に支障を及ぼさない程度で足りる」として管理瑕疵がないと判示しています。 穴ぼこや段差の事故では、道路の状況によって「通常程度の凸凹、くぼみ、段差である(最高裁判昭和49年11月7日、最高裁判昭和52年2月3日)」「通常の注意を払っていれば危険はない(東京地判平成12年7月26日、東京地判平成8年3月12日)」などの理由で管理瑕疵がないとした判例が数多くある一方、管理瑕疵を認めている判例も数多くあります。

過失相殺

 道路に穴ぼこや段差があったとしても、被害者が通常の注意か、より多くの注意を払っていれば事故は回避されていたでしょうし、他の通行車が危険を回避して通行しているなかで1件だけ事故が起きたということも多くあります。

 このように、被害者にも落ち度があった場合は、「過失相殺」が行われます。

 過失相殺はケース毎に判断されるものですが、例えば注意義務を怠ったという理由で6割の過失相殺をしている判決(神戸地判昭和47年2月16日、岐阜地判昭和47年7月17日)や、注意義務を怠っていたのに加えてスピードを出しすぎていたという理由で7〜9割の過失相殺をしている判決(浦和地越谷支判昭和52年8月15日、静岡地浜松支判昭和53年3月15日)などがあります。

初動対応

 道路に穴ぼこや段差が生じて「通常有すべき安全性」を欠いた場合、本来は直ちに補修することが望まれます。 それができない場合は、「段差注意」「徐行」等の標識や赤色灯で注意を促すなどの措置が必要です。

 事故が起こった場合、被害者と現地立会いをして状況を把握し記録します。 裁判になった場合には、「被害者の過失の度合い」「穴や段差の大きさ」「穴が放置された時間」「パトロール等の状況」「被害の状況」などが問題とされることが多いため、それらを確認します。

 具体には、所属の組織に初動対応の事務要領などがある場合は、それにより状況を確認し、ない場合には、概ね、下記の状況を確認して写真などの記録に残します。

  • 事故に至るまでの状況
    (現場に至る走行ルートなど、そこまでに「段差注意」などの表示があったり、もともと凸凹の道路あれば、その状況も)
  • 事故の状況
    (被害者の説明の記録と車体の傷の状況の写真などのほか、不案内な道だったとか、事故発生時に暗かったとか、ヘッドライトを点けていなかったとか、水溜りがあったなど、穴などに気づかなかった理由を含めて)
  • 事故現場の写真
    (被害者の説明や車の損傷を補う現場の状況写真、事故発生の原因となった穴の大きさや深さなどはスケールをあてて写真に撮る)
  • 可能であれば目撃者の証言など

 なお、警察へ事故の届け出がなされているかの確認が必要です。 応急措置を講ずる場合は、応急措置前の状況を写真等により記録しておきます。 診断書などは、瑕疵の有無を判断した後に提出を求める場合が多いようです。