築地大橋

(隅田川の最新の橋梁)

 築地大橋は、臨海部の開発に伴って架けられた、環二通りが隅田川を渡る橋梁です。 隅田川の最も下流にあり、平成27年度に完成した最も新しい橋で、頭上に横繋ぎ材の無い開放感がある鋼3径間連続中路式アーチ橋で、平成30年度土木学会田中賞を受賞しています。
 橋の都心側にある築地市場跡地内の工事が遅れているため、暫定開通をしています。

〔目次〕

築地大橋

写真出典〕橋梁形式選定委員会 柿堺至第二代委員長提供

築地大橋の諸元等

 築地大橋(つきじおおはし)は、環二(かんに)通りが隅田川(すみだがわ)を渡る橋梁です。 隅田川の河口付近に架けられており、隅田川で最も下流にあり、最も新しい橋です。 橋の都心側の築地市場跡地に整備される環二通りができていないため、現在、暫定開通をしています 1) 2)

  • 橋梁名 ‥ 築地大橋
  • 道路名 ‥ 環二通り(環状第2号線)
  • 所在地 ‥ 東京都中央区築地(つきじ)〜勝どき
  • 開通年月日 ‥ 平成30年(2018)11月4日
  • 橋長×幅員 ‥ 245.0m×32.3〜48.0m
  • 型式 ‥‥ 鋼3径間連続中路式アーチ橋

築地大橋の建設経緯

計画

 環状第2号線は、臨海副都心への再編を誘導する道路として、平成5年(1993)に新橋から湾岸道路までの約4.7kmを延伸する都市計画決定が行われました。

 平成19年(2007)には、築地市場が豊洲に移転することとなったこと踏まえ、隅田川を地下トンネルで抜ける計画を橋に変更する都市計画変更が行われ、事業認可を得て「(仮称)隅田川橋りょう」として整備が始まりました 1) 2)

設計施工

築地大橋の写真

築地大橋の全景

写真出典〕当サイト撮影(H31.4)

 築地大橋は、永代橋勝鬨橋などの隅田川の伝統的な3径間のア−チ形式を引き継ぎながらも、重厚な勝鬨橋に代わる隅田川で海に最も近い第一橋梁として、特徴的なシルエットの優美で開放感のある個性的なア−チ橋となっています 1)

 築地大橋は、 橋梁・鋼構造工学に関する優秀な業績に対して授与される土木学会田中賞を平成30年度に受賞しています 2)

築地大橋の横景

写真出典〕当サイト撮影(H29.12)

 築地大橋の形式は、東京都建設局の職員で構成された橋梁形式選定委員会で次のコンセプトを実現する橋として決められました 3)

  • 新技術の適用など、隅田川橋梁群の知的伝統を受け継ぐ橋
  • 文化財としての評価を受けている既設橋に見劣りしない、隅田川第一橋梁と認識するにふさわしい橋
  • 隣接する勝鬨橋と景観的に調和する橋
  • 観光の名所となる橋
  • 力学的に安定し、美しく、長寿命な橋
築地大橋の写真

頭上の横繋ぎ材がない築地大橋の橋上

写真出典〕当サイト撮影(H31.3)

 その結果、アーチリブを歩道側に約14度傾け鉛直支材と斜めのケーブルで力学上のバランスを取って頭上に横繋ぎ材がない開放感のある構造となっています。

 歩道は利用者の快適性に配慮してゆるやかに水辺に張り出しています。

 アーチはシャープな伸びやかさが得られる放物線で、歩道には耐久性が高く経年変化したときに風合いが増す石材が採用されているなど、東京のランドマークとして機能する先進性や構造美が表現されています 4) 5)

築地大橋の写真

築地大橋の平面図

図表出典〕東京都HP(リンク切れ)

 工事は平成23年度(2011)に下部工事に着手し、平成26年度(2014)に鋼けた架設工事が、平成27年度(2015)に橋面舗装等の上部仕上げ工事が行われています 1)

 上部工は、両側の側径間と中央径間の3回に分けて、工場で組み立てられた桁を大型フローティングクレーンで一括架設されました。 この工事の様子は動画で公開されています 6)

ライトアップ

築地大橋のライトアップ

築地大橋のライトアップ

写真出典〕当サイト撮影(R4.5)

 令和2年(2020)8月に、隅田川の新しいゲートにふさわしい大アーチを鮮やかなカラーで彩り、上から下へゆっくりと色を変化させられるライトアップが整備されました 1) 2)

築地大橋の現況

暫定迂回道路の図面

築地市場跡地の地上部道路

図表出典〕東京都HPを当サイト加工

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/02/19/04.html

 築地大橋の都心側は、移転が平成30年(2018)10月11日まで遅れた築地市場の跡地です。 築地市場の移転が遅れて市場跡地の工事が進まなかったために築地大橋の供用が遅れていましたが、平成30年(2018)11月4日に車線を限って暫定的に開通しました 1)

 市場跡地の工事の後、令和4年度(2022)に本格的な供用が予定されています。